2014年12月04日

海外の英語での学会発表であっても原稿を読んではいけない理由

海外での学会発表は、英語で話すことに慣れていない人にとってはとても怖いものです。ですから、英語で原稿を作ってそれを本番で読んでしまいたい気持ちになるのはよくわかります。

しかし、

原稿を読むことは全くお勧めしません。

なぜかというと、学会発表というのは相手と自分とのコミュニケーションだからです。発表の間中ずっと下を向いて原稿を読む行為は、目の前の人間を完全に無視しているようなもので、無視された人間は非常に白けた気分になります。まだ、英語がつたなくても必死でコミュニケーションを取ろうとしている人のほうが断然、好感がもたれます。

言うことが出てこなくて沈黙してしまうくらいなら、原稿を読みなさいと学生に指導する先生もいるようです。しかしその考えに賛成できません。緊張して膝が震えて、レザーポインターを持つ手も震えて、声も上ずって、頭が真っ白になってしまったとしても、言葉が自然に口をついて出てくるくらいに練習をし、準備すべきなのです。学生をそこまで指導するのが教授の責任です。

原稿で書いた英文と少し違うことを言ってしまった場合、そのままアドリブで続ける練習もしたほうがいいでしょう。最終的には、このスライドではこれとこれについて述べる、と伝えたいポイントだけ頭に入れておくとよいです。


それでも原稿を読みたいとお考えですか?今回原稿を読んでしまったら、じゃあ、次回は原稿なしでできるのでしょうか?また怖くなって読んでしまうだけではないですか?仮に今回失敗したとしても、場数を踏む効果というものがあります。2回目は必ず1回目よりもうまくいくものです。いつから原稿なしでやりますか?


自分はあがり症だから絶対無理と思う人もいるかもしれません。

人前に出て緊張してしまう最大の理由は、自分が他人からどう見られるかを気にしているからです。自分のことを考えるのではなくて、聞いてくれている人のことを考えましょう。自分のプレゼンをどうすれば、相手にとってもっと分かりやすくなるのか?常に聞いてくれている相手に感謝の気持ちを持って、相手のことを考えるのです。

相手が自分のことをどう思うかじゃなくて、
自分が相手のことをどれだけ思ってあげられるかです。
アガリ症を克服していい英語のプレゼンを行うためには、この意識改革が非常に大事です。自分の目の前に座っている人たちは、貴重な時間を割いて、自分の発表に耳を傾けてくれているんだと感謝の気持ちを持ちだけで、だいぶアガリは抑えられます。

普段一対一で人と話すのと変わらない自然な態度で講演できる人もいますが、いきなりその境地を目指す必要はありません。平常心で人前で話すのは普通は無理です。いい意味で緊張してテンションを一段上げた状態で熱意を持って話すのがいいのではないかと思います。

とにかく準備が大事です。学会直前まで実験が忙しくてスライドが全部そろわないので発表の練習が直前になってしまった、という言い訳はなしです。発表の申し込みをしてから学会当日まで通常なら数ヶ月はあるわけですから、学会に行くと決まった瞬間から気持ちを切り替えて準備をし始め、今手元にある材料でとりあえずプレゼンを組み立ててみて練習をしてみるといいでしょう。

アメリカで行われた学会で、日本人の講演者がいきなり下を向いて原稿を棒読みし始めたとき、それまで和やかだった学会会場が寒々とした異様な雰囲気に変化したのは今でも忘れられません。アメリカ大統領も原稿を読むじゃないかという人がいるかもしれませんが、原稿を読みながら聴衆に語りかけるスピーチを行うのは相当な上級者です。それとこれとは全く異なります。とにかく、頑張って練習しましょう。


遺伝研メソッドで学ぶ科学英語プレゼンテーション[動画・音声付き]――感じる力、考える力、討論する力を育てる
posted by today's speaker at 22:17| 学会発表を英語でする場合の注意点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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